都市計画法に基づく制限の概要

重要事項説明書の読み方

例えばある土地の所有者がその土地が自分の所有だからと自分の好き勝手に建物を建てたり、自分の都合の良いように道路を作ったりしたら周りの人たちが困りますよね。

都市計画法の総則にはこうあります。

第一条 この法律は、都市計画の内容及びその決定手続、都市計画制限、都市計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もつて国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする

都市計画法第一章 総則

・・・・・・・。  難しい言い回しですね。

要するに土地の利用に関するルールを定めて自分勝手な使用を制限しよう、都市計画事業として道路等を計画的に整備しよう、ということですね。

この項目では購入しようとする不動産が希望通り使用できるのか確認をすることが重要です。

マイホーム建築の為に土地を購入したのにその土地は家を建ててはダメな土地だった…

建築はしてもいいけど厳しい制限があって建築費用以外の大きなお金が必要になった…

購入した家が道路計画の一部にかかっていた為立ち退きが必要になった…

そんなことにならないようにしっかりと確認をしましょう。

対象不動産がどのような地域にあるのか、またその際にはどのような制限があるのかを説明する事項です。

あなたが検討している不動産がどのような地域にあるのか確認をしましょう。

(※このブログでは国土交通省のホームページに公開されている重要事項説明の様式例を元に解説をします。不動産会社の使用する書式の様式によって若干違いますが法律で定められている重要事項説明の内容は同じです。)

区域区分(市街化を推進する地域としない地域を分ける)

都市計画法上、都市計画区域と準都市計画区域に区分されます。

さらに都市計画区域は市街化区域、市街化調整区域、非線引区域に分けられます。

都市計画区域には都市計画を定めます。

市街化区域

市街化区域とは既に市街地を形成している地域とおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域とされています。

市街化調整区域

市街化調整区域とは市街化を抑制する地域です。田畑を守って無秩序な市街地開発を行わない地域です。

市街化を抑制したい地域にショッピングモールなどが建築されたら人が集まってきて市街化が促進されてしましますよね?

その為、建物を建築する際は厳しい制限がかかってきます。

非線引区域

上記市街化区域・市街化調整区域の区分が定められていない地域のことです。

都市計画施設

「都市計画施設」とは、都市計画において定められた第十一条第一項各号に掲げる施設をいう。

都市計画法第4条6

都市計画において定められた第十一条第一項各号に揚げる施設とは

第十一条 都市計画区域については、都市計画に、次に掲げる施設を定めることができる。この場合において、特に必要があるときは、当該都市計画区域外においても、これらの施設を定めることができる。

一 道路、都市高速鉄道、駐車場、自動車ターミナルその他の交通施設

二 公園、緑地、広場、墓園その他の公共空地

三 水道、電気供給施設、ガス供給施設、下水道、汚物処理場、ごみ焼却場その他の供給施設又は処理施設

四 河川、運河その他の水路

五 学校、図書館、研究施設その他の教育文化施設

六 病院、保育所その他の医療施設又は社会福祉施設

七 市場、と畜場又は火葬場

八 一団地の住宅施設(一団地における五十戸以上の集団住宅及びこれらに附帯する通路その他の施設をいう。)

九 一団地の官公庁施設(一団地の国家機関又は地方公共団体の建築物及びこれらに附帯する通路その他の施設をいう。)

十 流通業務団地

十一 一団地の津波防災拠点市街地形成施設(津波防災地域づくりに関する法律(平成二十三年法律第百二十三号)第二条第十五項に規定する一団地の津波防災拠点市街地形成施設をいう。)

十二 一団地の復興再生拠点市街地形成施設(福島復興再生特別措置法(平成二十四年法律第二十五号)第三十二条第一項に規定する一団地の復興再生拠点市街地形成施設をいう。)

十三 一団地の復興拠点市街地形成施設(大規模災害からの復興に関する法律(平成二十五年法律第五十五号)第二条第八号に規定する一団地の復興拠点市街地形成施設をいう。)

十四 その他政令で定める施設

都市計画法第11条

道路や公園など主に生活に必要な施設だけでなく、河川や水道も含まれています。

代表的なもので都市計画道路があります。

新しく道路を作ろう!と計画された都市計画施設の予定区域では建物の建築などが制限されます。

その際にポイントになるキーワードが事業決定事業認可です。

事業決定とは将来的に道路を作る計画がある。というニュアンスです。

事業決定の段階では具体的な時期は決まっていないことが多く(主に〇〇年で道路を作るなど)実際にはいつ頃その道路が開通するかは正直わかりません。

したがって、制限はありますが木造住宅を建築するなど一定の建築等は可能です。

みなさんも〇〇から〇〇まで道路ができるらしいよーなど聞いたことがないですか?

私も小さい頃お正月の親戚の集まりでおじさんが道路がどう開通するとか、商業施設が出来る予定があるなど話をしているのを聞いて何か特別な人だと思っていましたが都市計画の話をしていたんですね(笑)

事業認可とはいよいよ道路を作る工事に入る段階です。

事業の認可があると建物の建築等をする場合には必ず知事の許可が必要となります。

道路工事をしようとしている所に勝手に家を建てられたら困りますよね。

都市計画施設の予定区域の土地を売買しても良いの?

そんな制限のある土地を売ってもいいの?と思われる方もおられるかもしれませんがそのような土地を売買しても全く問題はありません。

私も実際に都市計画道路の予定区域内にある土地の売買仲介をしたことがあります。

その際には制限などを調査して、重要事項説明書の際に分かりやすく説明をしました。

自分で都市計画法の制限を調べる事は出来る?

ご自身で都市計画法の制限を調べる事は出来ます。

今はネット上に情報が掲載されていますので”〇〇(調べたい都市名)+都市計画”等でネットを検索してみてください。

地図を区域ごとに色ぬりをした分かりやすいデータを公開している自治体もあります。

対象不動産にどのような制限があるかを調査して説明する責任は不動産会社にありますから必ずしもすべて自分で調べる必要はないと思います。

ただ、不動産の購入は人生で最大の買い物と言われます。

自分で調べることによって不動産会社に聞くべきことがわかってくることもあります。

みなさんのスムーズな不動産取引の一助になれば幸いです。

dokugakufudousan

当サイトの管理者。マンション管理士・宅地建物取引士・管理業務主任者・賃貸不動産経営管理士に独学で合格。賃貸・売買仲介不動産会社勤務。

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