(※このブログでは国土交通省のホームページに公開されている重要事項説明の様式例を元に解説をします。不動産会社の使用する書式の様式によって若干違いますが法律で定められている重要事項説明の内容は同じです。)
みなさんは石綿(アスベスト)と聞くとどんな印象を持ちますか?
いまでは「危険」「使用禁止」などのマイナスの印象をもつ方が多いかもしれません。
不動産の取引の際には建物について石綿(アスベスト)の使用調査結果がある場合にはその内容について説明しなければなりません。
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石綿(アスベスト)とは
そもそも石綿(アスベスト)とはどのようなものなか。
石綿は天然に産する繊維状の結晶鉱物の総称です。アスベストとも呼ばれます。
石綿は安価で、安定性や加工性に優れており、「魔法の鉱物」・「奇跡の鉱物」として重宝されました。
しかし、空中に飛散した石綿繊維を吸い込むと健康被害を引き起こす事が発覚して以降、徐々に減少し、1975年には使用が原則禁止されました。
建築物においてはその耐火性・耐久性から鉄骨の耐火被覆材として使用されました。
石綿は比較的大規模な鉄骨造の建築物の耐火被覆材として多く使用されました。
一般的な戸建て住宅にはほとんど使われていませが、マンションの駐車場や鉄骨の建物には使用されている可能性があります。
吹き付けアスベスト:石綿とセメントを一定割合で水を加えて混合し、吹き付け施工しものをいいます。
【参考】アスベスト(石綿)に関するQ&A※厚生労働省ホームページ
石綿(アスベスト)使用調査は必須なのか
不動産の取引において、宅建業者(不動産会社)に義務付けられているのは説明であって、調査自体は義務付けられていません。
その為、使用調査がある場合は以下の事項を説明する必要があります。
- 調査の実施機関
- 調査の範囲
- 調査方法
- 調査年月日
- 石綿の使用の有無
- 石綿の使用の箇所や状態等
使用調査がない場合はなしと説明があります。
前述の通り、売主や不動産会社には石綿(アスベスト)使用調査の義務はない為、実際の不動産取引では使用調査なしで説明される事がほとんどです。
石綿(アスベスト)使用調査結果の記録の有無で気をつける事
石綿(アスベスト)が使用されている場合には健康被害に注意することはもちろん、解体の際にも大きな影響がでます。
石綿(アスベスト)が使用されている建築物を解体する際は粉塵が発散しないように特殊な対策が必要になる為解体費用が通常より多くかかります。
売買契約にあたってどうしても調査をしたい場合は事前に売主に承諾を得て、自らの費用負担にて調査を行う必要があります。
しかし調査結果次第では契約が解約(白紙)になるようであれば売主の承諾も得られないかもしれません。
築年数がある程度古く、石綿(アスベスト)が使用されている不動産を検討する際は仲介の不動産会社によく相談して慎重に検討する必要があります。