賃貸物件の入居促進の手法の一つとして傾斜家賃というものがあります。
傾斜家賃とは?
傾斜家賃とは入居期間に応じて賃料が上がっていく制度のことです。
公営住宅などで多く用いられていますが、最近は一般の賃貸物件でも傾斜家賃制度の募集を見かけるようになりました。
傾斜家賃制度はお得か?
結論、入居期間や減額賃料の金額、短期解約の違約金によってお得になるか損をするかが変わります。
傾斜家賃は一定期間家賃が安くなるという謳い文句ですが、なにも制約がなく家賃減額がされるわけではありません。
契約時に礼金が設定されていたり、短期解約の違約金が通常よりも多く設定されていたりと入居期間によっては損をすることもあります。
家賃10万円の賃貸物件を例に解説します(退去時の原状回復費用や契約時の諸費用は同じと仮定します)。
例1通常家賃:月額家賃10万円・敷金礼金0・短期解約違約金1年未満の解約で賃料の1ヶ月
この物件に入居して
→6ヶ月で解約をした場合には短期解約の違約金賃料の1ヶ月分10万円が発生。マイナス10万円
→18ヶ月で解約をした場合には短期解約の違約金は発生なし。
→24ヶ月で解約をした場合には短期解約の違約金は発生なし。
例2:月額家賃10万円・2年間賃料1万円減額・礼金1ヶ月・短期解約違約金1年未満の解約で賃料の2ヶ月、2年未満の解約で賃料の1ヶ月
この物件に入居して
→6ヶ月で解約をした場合には家賃減額を受けた分6万円、短期解約の違約金賃料の2ヶ月分20万円が発生、契約時の礼金10万円。減額分との差額マイナス24万円。
→18ヶ月で解約をした場合には家賃減額を受けた分18万円、短期解約の違約金賃料の1ヶ月分10万円が発生、契約時の礼金10万円、減額分との差額マイナス2万円。
→24ヶ月で解約をした場合には家賃減額を受けた分24万円、短期解約の違約金なし、契約時の礼金10万円。減額分との差額プラス14万円。
結論:傾斜家賃は入居期間によってお得か損かが変わる!
上の例のように傾斜家賃を使って契約をしても入居期間によっては通常契約するよりも多い金額を支払うことになります。
入居を検討する際はどのくらいの期間入居する予定か、短期解約の違約金の設定はどうかなど詳しく不動産会社に確認をしましょう。
傾斜家賃はなぜ存在するのか?募集広告の制限は?
ではなぜそのような傾斜家賃が存在するかというと、不動産会社の広告に減額後の賃料で掲載ができるため、反響(お問い合わせ)が多く見込めるためです。
賃貸物件の広告原則として、契約期間内に賃料が増額される場合、一番高い金額で募集広告を出す必要があります。
しかし契約期間2年間で傾斜家賃2年間1万円減額などの場合は契約期間中に賃料が上がらないため減額後の金額で広告をすることができます(備考などで2年後に金額が上がる旨明記する必要はあります)。
通常よりもお得な物件があった場合には傾斜家賃適用後の金額の場合もあります。
広告をチェックしてどのような条件で契約ができるのか不動産会社に確認をしましょう。