賃貸物件を借りる際の契約形態として普通借家契約と定期借家契約があります。
ほとんどの契約が普通借家契約ですが一部定期借家契約があります。
普通借家契約と定期借家契約の違いを解説します。
定期借家契約とは
定期借家契約とは契約期間の満了により契約が終了する借家契約です。
定期借家契約では更新がなく、期間が満了すればたとえ継続して入居を希望しても貸主の承諾が得られなければ退去しなければなりません。
定期借家契約を有効に締結するためには次の要件を満たさなければなりません。
- 期間を定める
- 公正証書などの書面で契約を締結する
- 貸主が借主に対して、契約の更新はなく期間の満了とともに契約が終了することを、あらかじめ書面(契約書ではないもの)を交付して説明する
以上の一つでも満たしていなければ定期借家契約とはならずに一般借家契約となります。
一般借家契約と定期借家契約の違い
一般借家契約と定期借家契約では以下の点で違いがあります。
契約更新の有無
一般借家契約には契約の更新がありますが、定期借家契約には契約更新はありません。
そのため定期借家契約では期間満了により契約が終了しますので、退去しなければなりません。
定期借家契約に更新はありませんが、再契約は可能です。
期間満了時に貸主と借主の合意があれば再度契約を締結することが可能です。
契約期間の定め
一般借家契約は期間を定める必要はありません。期間を定める場合には1年以上の期間で定める必要があります(1年未満を定めた場合は期間の定めのない契約となります)。
定期借家契約では必ず契約期間を定めます。その場合には1年未満の契約期間を定める事も可能です。
契約手続きの方法
一般借家契約では契約書の交付は不要です(トラブル防止のために契約書を交わす事がほとんどです)。
定期借家契約では公正証書などの書面で契約を結ぶ必要があります。また、書面にて更新のない契約で、期間満了で契約が終了する旨別途説明をしなければなりません。
不動産会社が定期借家契約の仲介を行う場合には不動産会社に説明義務が発生します。
法律上は公正証書”など”と定められていますので、必ずしも公正証書でなくてもよいです。
賃料減額の特約
一般借家契約では特約で”契約期間中に賃料の増減請求はできない”と定めがあっても公租公課や近隣賃料の増減など一定の事情があれば家賃の増減請求が可能です。
定期借家契約では契約期間中に賃料増減請求ができない旨の特約があればその特約に従い賃料増減請求はできません。
中途解約
一般借家契約では特約で中途解約可能と定めることができます。特約がなくても貸主と借主の合意があれば解約可能です。
定期借家契約では特約での定めがなければ中途解約はできません。ただし、居住用の物件で床面積200m2未満の物件の場合のみ借主のやむを得ない事情で生活の本拠に用いることが困難になった場合は中途解約が可能です。