建築基準法と聞くとなんとく知っているという方は多いと思いますが具体的になんなの?と聞かれるとよく分からない方が多いと思います。
重要事項説明書の記載事項は下記の通りです。
- 用途地域
- 地域・地区・街区名等
- 建築面積の限度(建蔽率制限)
- 延建築面積の限度(容積率制限)
- 敷地と道路との関係
- 私道の変更又は廃止の制限
- その他の制限
建築基準法に基づく制限は特にボリュームが多いので複数回に分けて解説します。
まずは1.用途地域と2.地域・地区・街区名等から。
(※このブログでは国土交通省のホームページに公開されている重要事項説明の様式例を元に解説をします。不動産会社の使用する書式の様式によって若干違いますが法律で定められている重要事項説明の内容は同じです。)
用途地域
用途地域とは計画的な街作りの為に定められた13の地域をいいます。
閑静な住宅地に工場があると騒音等の問題で安心して暮らせませんよね。
用途地域は大きく分けると3つに分類されます。
・住居系(8種類) ・商業系(2種類) ・工業系(3種類)
用途地域によって建物の使い道が制限されます。
その為用途地域毎に住み心地が異なります。
自宅を購入・建築を計画する際は用途地域を確認しましょう。
みなさんはご自身の住まれている地域の用途地域を知っていますか?
住居系用途地域8種類
住居系の用途地域は8種類あります。
第一種低層住居専用地域
低層住宅のための地域です。都市計画で高さの制限(10mまたは12m等)が定められています。外壁の後退距離(お隣さんとは○メートル以上離れてね!等)が定められることもあります。また、店舗や事務所の規模の制限もあり、その為一般的なコンビニなども建てられないエリアです。その反面静かな住環境が確保されます。
第二種低層住居専用地域
主に低層住宅のための地域です。高さの制限は第一種低層住居専用地域と同じですが建物の種類は150m2までの店舗が可能になる為、コンビニや飲食店が可能になります。
田園住居地域
この田園住居地域は2019年4月から追加されました。
用途地域が追加されるのはなんと25年ぶり!だそうです。
田園住居地域が追加された背景には生産緑地法があります。生産緑地法により農地を営めば税制上の優遇を受けることができるようになったため、都市近郊に農地が戻るようになりました。
しかし、生産緑地法には2022年までの期限が定められており、その期限がくると宅地として売却する人が急増する恐れがあります。
その為田園住居地域に指定して事前に対策をしているようです。
第一種中高層住居専用地域
中高層住宅のための地域です。病院、大学、500㎡までの一定の店舗などが建てられます。
第二種中高層住居専用地域
主に中高層住宅のための地域です。病院、大学などのほか、1,500㎡までの一定の店舗や事務所など必要な利便施設が建てられます。中規模の商業施設等があります。
第一種住居地域
住居の環境を守るための地域です。3,000㎡までの店舗、事務所、ホテルなどは建てられます。上記住居地域に比べてさらに商業施設が多くなる地域です。
第二種住居地域
主に住居の環境を守るための地域です。店舗、事務所、ホテル、カラオケボックスなどは建てられます。ボーリング場やカラオケ、一定規模のパチンコ屋さんなどが建てられます。
準住居地域
道路の沿道において、自動車関連施設などの立地と、これと調和した住居の環境を保護するための地域です。国道や幹線道路が近くにあるような地域です。
商業系用途地域2種類
商業系の用途地域は2種類あります。
近隣商業地域
まわりの住民が日用品の買物などをするための地域です。住宅や店舗のほかに小規模の工場も建てられます。準住居地域の規制がさらに緩和されます。その為、人によっては騒がしいと感じる方もあるかもしれません。
商業地域
銀行、映画館、飲食店、百貨店などが集まる地域です。住宅や小規模の工場なども建てられます。風俗施設等もあります。反面、ターミナル駅があったりと交通の便利が良い地域でもあります。
工業系用途地域3種類
工業系の用途地域は3種類あります。工場等が優先されますが工業専用地域以外には住宅を建築することも可能です。
準工業地域
主に軽工業の工場やサービス施設などが立地する地域です。危険性、環境悪化が大きい工場のほかは、ほとんどが建てられます。
工業地域
どんな工場でも建てられる地域です。住宅や店舗は建てられますが、学校、病院、ホテル等は建てられません。湾岸地域が指定されることが多く、その地域に建築された高層マンションは海が見える等眺望が良いことが多い傾向にあります。
工業専用地域
その名の通り、工場のための地域です。どんな工場でも建てられますが、住宅、店舗、学校、病院、ホテル等は建てられません。
地域・地区・街区名等
用途地域を補う目的で定められる特別用途地域や、防火の観点から定められる防火地域。準防火地域等があります。
みなさんの身近にあるもので東京駅周辺の特例容積率適用地区というものがあります。
利用していない容積率を売買して指定容積率以上の建物(高層建築物)を建てることが出来るようになります。
東京駅は高層建築物では無い為、従来の容積率を使いこなすことなく余っている状況でした。その使っていない容積率を売買し、東京駅の大規模補修費用を捻出したんですね。
最後に
みなさんが住んでいる地域には用途地域等でかなり細かいルールが定められています。
新築を計画する際も既存建物を購入する時も希望の使用方法が可能なのか詳細に確認する必要があります。用途地域や地域地区はネットで検索することも可能です。
『○○(検索したい都市名)+用途地域』等で検索をするとほとんどの都市でネット上に情報を公開していると思います。
また、自分が住んでいる地域の制限を調べてみるのも面白いかもしれませんね。