2020年10月16日国土交通省より「サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン」が公表されました。
サブリース事業適正化ガイドラインの策定
~法の規制対象を事例等で明確化しました~
これは「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」(サブリース新法)のうち、サブリース業者とオーナーとの間の賃貸借契約の適正化に関する措置(令和2年12月15日施行)について、サブリース業者の規制内容を具体例を示して明示したものです。
なぜこのようなガイドラインが策定されたのか
国の生活基盤を支える賃貸住宅のオーナーがマスターリース契約の内容を良く理解せずにサブリース業者とマスターリース契約を結び、トラブルになっているケースが発生しています。
オーナーの中には相続で不動産を取得した事業知識の浅い方も増加しています。
また、サブリース業者も新規参入が増えています。
サブリース業者等とオーナーとのトラブルを防止するため、賃貸住宅管理業法上求められる事項や賃貸住宅管理業法違反となり得る具体的な事例等を明示しています。
オーナーの立場は強いようで弱い
サブリース契約と聞くとオーナーの立場が強いように感じますが、実際はオーナーの方が弱い(不利)ケースが多く存在します。
なぜならサブリース契約は賃貸借契約で結ばれることがほとんどだからです。
賃貸借契約を結ぶ以上、貸主はオーナー、借主はサブリース業者となります。
そうなると当然借地借家法の適用もあります。
借地借家法は借主の立場を保護することを目的に作られた民法の特別法です。
その立場を逆手に取り借主(サブリース業者)に都合の良い内容で契約を結び、後日トラブルが発生するということが起きています。
(当然契約内容によりますので全てのマスターリース契約がオーナーに不利な内容ではありません)
そのような実態を是正すべく今回のガイドラインが公表されました。
ポイントは以下の3点です。
不当勧誘等の禁止の対象となる「勧誘者」の定義の明確化
サブリース事業において、サブリース業者が建設業者や不動産会社と連携してサブリース事業を勧誘することが一般的に行われています。
もしサブリース業者のみが不当勧誘の禁止対象とすれば第三者に勧誘を委託し、規制を逃れることができてしまいます。
結果的に委託を受けた第三者が不当な勧誘を行い、トラブルになってしまいます。
そのような事態を未然に防ぐために、サブリース業者がマスターリース契約の締結についての勧誘を行わせる者を「勧誘者」と位置づけ、勧誘者に対しても、誇大広告等の禁止及び不当な勧誘等の禁止を義務づけました。
「勧誘者」の定義とは
建設請負や不動産売買の際に契約の勧誘を行う建設業者や不動産業者や、サブリース業者から勧誘の依頼を受けた賃貸住宅のオーナーが該当します。
これは単にサブリース業者を紹介するだけではなく、事業の意思決定に影響を与えていると考えられる場合も勧誘に含まれます。
現在サブリース事業を行っている賃貸住宅のオーナーが新しく事業を検討しているオーナーへサブリース業者を紹介する場合も勧誘者に含まれますので注意が必要です。
誇大広告の禁止
オーナーになろうとしている人にメリットだけを強調して、著しく事実に相違する表示又は実際のものよりも著しく優良あるいは有利であるような表示を行う行為について禁止しています。
とくに「家賃保証」や「空室保証」など空室の状況にかかわらず一定期間一定金額を支払うことを約束する旨の記載をする場合は、そのような文言に隣接する箇所に定期的な賃料の見直しがある場合にはその旨、金額の減額の可能性があることを明示する必要があります。
小さな文字で記載して、記載した事実を作ることのないように表示にあっては一体として認識できるように表示されていることが必要です。
また、「○○年一括保証」のような表示をする場合は契約期間内でも業者から解約をする可能性があることや、オーナーからの解約には借地借家法に基づき正当事由が必要なことを表示する必要があります。
契約前に事業リスクを書面にて説明
契約の締結前に、オーナーに対し、家賃が減額されるリスクや契約解除条件などを書面に記載して説明することが義務付けられました。
重要事項の説明者
今のところ説明者に法律の定めはありませんが、ガイドラインには一定の実務経験を有する者や賃貸不動産経営管理士など専門的な知識及び経験を有する者によって説明が行われることが望ましいと記載されています。
今後さらに賃貸不動産経営管理士の重要性が高まりそうです。
今のうちに受験して資格を取得しましょう。
サブリース事業について
サブリース事業はサブリース業者が絶対に儲かるようにできています。
マスターリース契約を検討する際にはリスクを検討しましょう。
当然マスターリース契約には空室の心配がないことや賃貸経営をすべて任せられるメリットもあります。
とくに昨今の賃貸市場は変化も著しく、経営には強いストレスがあることも事実です。
金額、事業年数共に桁が違います。メリットとデメリット、十分に検討をしましょう。